世界で一番ソラに恋した。
「あはは。やっと来た。遅いじゃん」
ドアの向こう、鍵を指で回しながら私を笑顔で迎えてくる人。
でも、騙されないもん。
「鍵、返してくれないなら付け替えるからね! それは預かり物なんだから」
「ふうん。でも、俺も許可貰ったし」
「誰に?」
私の質問に、ソラ君は嬉しそうにステップを踏みながら歩いてくる。
なんでそんなに憂うそうなのか読めないけど、この鍵はそんな簡単に許可を貰えるわけがないもん。
「保健の先生。玉ちゃん」
「――嘘!?」
「ほんとー。そう言えば一学期の最初にさ、あゆって保健室に良く行ってたなあって思って」
あゆって名前を呼ばれるのもアレだけど、ソラ君、意外と私の事、なんでそんなに知ってるの?
「俺も最近良く行くんだ。合同で家庭科とか体育とかすんじゃん? あれが駄目でさ」
「ええ!? 嘘だあ」
私に警戒心を持たれないようになんか作戦でも立ててるの?
怪しくて睨みつけると、ソラ君は苦笑いを浮かべる。
「まあ、ちょっと聞いてよ」