世界で一番ソラに恋した。
その笑顔は、今にも泣き出しそうだった。
余りにも消えてしまいそうな弱々しい声だったから、
私はソラ君が屋上に入りたがった理由を聞くことは出来なかったけれど、
でも。
ソラ君が悪いことなんてないのに。
「あのね、別にソラ君が嫌な訳じゃないの。あの、おまじないが恥ずかしいから、ここには誰も入って来て欲しくないの」
「おまじない?」
「取れた歯が上の歯だったら空へ投げるってやつ。あれにあやかって空に背伸びして背をあげたいとおまじないしてるんだけど」
大声で、本気で言わなければ神様には届かないと思い、周りに人が居ない時しか出来ないのだけど。
「俺は、もっとあゆの事が知りたいって思ったよ」
私の心中をよそに、ソラ君は静かに言う。
「いつも一生懸命なアユが知りたいって思ったよ。昨日」