世界で一番ソラに恋した。
「聞いた? 英語のテスト範囲、教科書より課題プリントから多く出すって」
「げっ 課題とかいつも朝、誰かの写してたから全然分からないよ」
「やばいよね。ちゃんと全部残ってるかな、私」
「ああ、私持ってるよ」
奈菜が英単語帳を眺めながら、涼しげにそう言うと三人はすぐに奈菜を取り囲んだ。
「きゃー、奈菜さま、仏様、奈菜さま」
「結局奈菜さまかい。ほら、コピーするなら急ぎなよ」
成績優秀な奈菜でさえちょっぴりお勉強モードになっているテスト前。
私はというと、皆と笑いながらも必死でお腹に力を込めていた。
次の休憩時間にパン屋さんが来てるはずだからダッシュしてやる。
「あゆ、アンタは?」
「私は大丈夫。今日ね、寝坊してお腹がヤバいの」
「ヤバいって? 私、腹痛の薬ならあるよ」
奈菜が心配げに覗きこむから、大きく手を振る。
「違う違う。朝ごはん、食べれなかったの。今ね、お腹が鳴りそうでやばいの」
そう言うと、コピーに飛び出た三人までクスクス笑う。