世界で一番ソラに恋した。


「あゆって分かりやすいな。顔、面白い」

「おおお、面白いって酷いよ」

「まあ、飲んだんなら仕方ないじゃない。後は気合いだよ」

笑いをこらえながら奈菜がクールに言うと、丁度皆が戻って来て予鈴もなってしまった。

真っ青な私をよそに、国語の先生は時間通りやって来て、黒板にでかでかと『自習』と書いて、教卓で違う学年だと思う。小テストの採点を始めてしまった。


パラパラと教科書やノートをめくる音、シャーペンが走る音さえ響く中、
私も国語のテスト範囲を纏めようとノートを開いた。


大丈夫、きっと大丈夫。

空腹よりもお腹が鳴って注目を浴びる方が恥ずかしかったけど、耐えなければ。



ぐぅ~


「!?!?!?!?」

お腹に力を入れていたつもりだったのに、お腹が鳴った。

けれどしーんと静まりかえっていて誰も気にしていなかったようで、胸を撫で下ろす。
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