世界で一番ソラに恋した。


そしてお腹にさらに力を入れた時だった。
ぎゅるるる……。


今度は、結構大きい。

誰かがクスクスと笑った気がした。

わーーん。どうしよう。
まだ自習始まって10分み立ってないのに、あと30分以上どうしたらいいの。

シャーペンを握る手が湿り、途方もなく涙が滲んだ時だった。


「お腹空いた」


自習中の教室で、突如その言葉を吐いたのは――……。

ドッと皆が笑いだして、サッカー部の男の子たちが彼をからかった。

「お前、朝ごはんいつも食べないからだろ」
「さっきから腹の音、うるせーよ」
「ソラ君、飴、食べるー?」


「おい、授業中だぞ」

先生が立ち上がって机と机の間を歩き出す。
私も先生が通り過ぎてからソラ君を見ると、舌を出してにやっと笑われた。

ドキドキする。

このドキドキは、お腹が鳴りそうなドキドキじゃなくて、




ソラ君が私を庇ってくれたんじゃないかって思うと、胸がドキドキしたんだ。
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