世界で一番ソラに恋した。
次の休憩では、ソラ君の回りはお菓子を持った女子たちで溢れていた。
私はそのまま、パンが売られている渡り廊下まで全力疾走した。
早く買って、今度こそお腹を膨らせなければ。
「雨笠さん」
パンを三個、腕に掻き抱いて、お会計に並んでいた時だ。
後ろから名前を呼ばれて振り返ると、がっしりした肩が視界に入って来た。
「上です。上」
見上げたら――長身の眼鏡の男の子が私を見下ろしていた。
この人って、確か生徒会長の、岳(たけ)君だ。
皆が騒いでいた、インテリ系イケメンの。
「小さいのによく食べるね」
むっ
「小さいのには余計です。何か用ですか?」
身長の事を言われてむすっとすると、表情はあまり変わらないけれどイケメンが焦っているのが分かった。
「申し訳ない。あのさ、雨笠さんって武井さんと仲良いよね?」
「奈菜?」
突然の言葉に耳を疑ったけれど、更に次の言葉で耳を疑った。
「メアドがLINE教えて欲しいってお願いしてから結構経つんだ。聞いてもらっていい?」