世界で一番ソラに恋した。

「うわ。私、はっきり言ったのになあ」
奈菜が雑誌を見ながら頬杖ついて、表情変えずにそう言った。

「うわって。あんなモテるし良い人そうなのに、奈菜の連絡ずっと待ってるみたいだったよ」

「だって私、気になる人いるし。それに『花火大会はもう友達と行くって約束してるんで』ってちゃんと断ったよ。連絡は――その時、まだガラケでLINEもしてなかったしなあ」
「グループラインからいつかバレるんじゃないの? て、気になる人って――」


内緒ねっと言われていたのを思い出して慌てて口を両手で押さえた。

「あゆ?」

「いや、友達と行くって、私のことだよね。ふふ。浴衣一緒に買おうね」

「いいよ。私の気になる人は、どーせ花火大会どころじゃないだろうし」

「……」

両思いだよってここで教えることは、ルール違反なんだよね。
なんか、すっごく罪悪感!
いや、どっちでも罪悪感なんだろうけど!

でもでもでも、奈菜が幸せになるなら――言ってしまいたいな。

「あゆ、どうしたの? あんた、隠しごと下手なくせに」

「かか!? 何も隠しごとなんてしてないよ!」
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