世界で一番ソラに恋した。
「ソラ君!」
もやもやとした気持ちを吹き飛ばしたかった。
だから、言う。
屋上が開いていたから、中へ飛び込むと、勇気が縮まないうちにそう叫んだ。
「今日ね、お腹が鳴りすぎて――ノートが取れなかったから、写させて!」
「えっ。あ、ああ」
拍子抜けしたような顔で、ヘッドフォンを肩にずらしながらカバンからノートを取り出す。
「一教科だけ?」
「うううん、一限から、五限抜かして全部」
「昼飯後以外かよ」
ぶぶっと目を細めて笑うと、コツンとノートで頭を叩かれた。
「お腹気にしすぎ」
「ソラ君からのLINEの返事が来なかったから寝坊して朝ごはんが食べられなかったんだよ。原拠はソラ君なんだから」
「あ、充電。屋上ってコンセントあるかな」
「こら、電気泥棒」
クスクスと、コンセントを探してうろうろするソラ君を見ながらノートを捲った。
空ばかり書いているソラ君がまともにノーと取っているのか、ちょっと半信半疑だったのだけれど、捲った先には、几帳面な字が並んでいた。