世界で一番ソラに恋した。
クスクスと笑う奈菜から、ミステリアスな色気を受信して私まで胸がドキドキしてしまう。

「奈菜は!? もしかして既に彼氏とかいる!?」

時々、話したこともない違うクラスの男の子とかから番号聞かれたりしている。
私なんてたまに『奈菜さんのアドレス教えて』って話したこともない人から突然話しかけられるレベルなのに!

「――居ない。けど、花火大会、ずっと誘って来てる人がいるよ」
「ええええええ」

じゃ、じゃあ、今年は私、一人?
皆が彼氏とラブラブしてる中、一人で浴衣着て、一人で亀掬いするの?

「断ってるよ。皆の王子様みたいだけど、私には良さが分からないから」

王子様……。
そんな人にアプローチされるなんて凄いなあ。
王子様なら奈菜に似合うと思うのに。


「じゃあ、バイトだから。もし今日寄るなら、安くしてあげるよ」
「行けたら行くね」
「アンタは、今日も恒例の儀式?」
「うん。頑張るよ―」
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