世界で一番ソラに恋した。
三、朱色の空


それから毎日、放課後の屋上で勉強会をした。

冷房もない屋上は熱かったけれど、ソラ君が小さなビニールプールを用意していて、給水機から水を拝借して、その中にジュースを浮かべたり、足をつけて勉強した。

傘を三つ、開いて給水機にくくりつけて、屋根みたいにしたり。

ソラくんは、毎日毎日、何かしらの改造を嬉しそうに、少年の様に夢中でしていた。

綺麗な、ソラくんの字が好き。

笑うと、頭が真っ白になってしまいそうな、透き通る魅力的な笑顔を好き。

額から流れ落ちる汗が顎を伝うのさえ、綺麗だと見惚れてしまった。


ノートを指差す時の、骨張った長い人差し指でさえ、息を飲む。

「指、長いね。いや、指以外も全部、大きいし長いけど」

ゴポゴポと、紙パックの底のジュースを空気と一緒に吸いこみながら、その手を見つめる。

「そのジュース、美味しい?」
「うん。夏限定、スイカ味、おしいよ」

手を、グーパーしながらソラ君が聞いてくる。
< 63 / 190 >

この作品をシェア

pagetop