世界で一番ソラに恋した。


閑古鳥が鳴くこのカレー屋も、夜は時々お客が来るのか、奈菜はそっちの接客に行ってしまった。

お客が来ない時期が長過ぎたせいで、インドっぽい雰囲気の像やらラクダやらの置物やら、途中で店長が趣味で集め出した日本の扇子が壁に飾られていたり、かと思えばオシャレなインテリアにしようとテーブルはアンティークだったり、店の中はごちゃごちゃ瞑想している。

そんな店内が珍しいのか、ソラ君はキョロキョロしまくり。

本当に、何だか、もう、―――可愛いだけでは表現できない。

「ソラ君、カレーの辛口レベル、何?」
「ん? 五。あゆのはお子様色してるから甘口か」
「当たり―。この辛口レベルの10飛んで20ってなってるでしょ? 10までしか出さないけど、20は挑戦メニューなんだって」
「へー。本当だ、いきなりレベル20に飛ぶんだな」

テレビで報道されないかと作った挑戦メニューだけど、残念ながら口コミでテレビが来るほどには成長できていないからね、ここ。

「食べきったら、一生ナンを無料食べ放題なんだって」
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