世界で一番ソラに恋した。


普段はクールだの格好良いだあの女の子たちからちやほやされているくせに、私の前でガキっぽくはしゃぐ灰人が、――恥ずかしすぎる!

月明かりと電灯だけの夜道なのがまだ救いかな。
「彼氏って言いたいけど否定しとく」
「ソラ君!」

ああああ。弟に家で散々からかわれる。
私が頭を抱えている横で、ソラ君はマイペースで『あ』とか呟く。

「そういや、俺、あゆのピンクのタオル借りたままだった」
「そうだったっけ?」

今はそんな事、どうでもいいと思う。
そう思っていたのに、ソラ君の声に灰人が反応した。

「立花さん!?」

――え?

「俺の中学にちょっとだけ教えに来てくれた、立花さんだ! すっげ、やっぱ姉ちゃんの高校に居たんだ」

「え? え? でも、ソラ君は佐崎って名字だけど――」

そう言いながら、ひっ掛っていたその言葉が、喉からころりと落ちた気がする。
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