世界で一番ソラに恋した。

「ごめん。サッカーも、今休部してんだ」
「えええええ」
「灰人、驚き過ぎだから」
「なんでっすか? 俺、佐崎先輩が憧れで――」

「うん。ごめん。俺なんか憧れないで」

ソラ君は即答して、二カっと歯を見せてわざとらしい笑顔を振りまいた。

「じゃあ、あゆ――タオル、今度でいい?」
「う、うん。本当にいつでもいいから」

いつもなら、家までの足取りが遅いソラ君との帰り道は、のんびりゆっくりなのに。

今日のソラ君は、灰人の登場に笑顔は崩さないまま、すぐに去って行った。


「まじで……。色々ありすぎてショック」

「灰人……」

「一番のショックは、なんで姉ちゃんなんかと付き合ってるのかってことだ」

「付き合ってないから!」
容赦なく肩を叩くとまだぼんやりしている灰人を置いて家へ戻った。
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