世界で一番ソラに恋した。
屋上への階段は、使わなくなった椅子や机で塞がっているけれど、小さな私の身長ならば、くぐって簡単に抜けられることが出来た。

小さな時から、いっぱい色々試したのに、私の身長は145センチで止まったまま。

未だに中学生に間違われるのは我慢できるけど、発育の良い小学生にさえ負けてしまうんだから、泣きたくなる。

毎日牛乳も小魚も食べてます。
夜更かししません。
無駄にソファでゴロゴロして余計なエネルギーも使っていないのに。


後、試したことがないって言えば、おばあちゃんが私が小学生の時に歯が抜けた時にしてくれたおまじない。

『下の歯は、屋根に投げると早く生えてくるよ』


これを私は身長に置きかえられないかと考えた。

屋上への秘密の鍵を回し、そっと外へ出ると、給水タンクの上へ登る。

そして空へ手が届きそうなぐらい両手を上げた。


「早く、伸びろ――!」
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