世界で一番ソラに恋した。
「いや、意味が分からないから」
ケラケラと笑われたけれど、すかさず奈菜がソラ君に詰め寄る。
「アンタ、英語と数Aは成績良かったわよね。ちょっと点数勝負しなさいよ」
「いいよ。なんなら、あゆと奈菜の点数を足して貰っても負ける気がしないけど」
「むっかーー! それって私の点数を全然期待してないでしょ、ソラ君」
私だってあんなに頑張ったのに!
「あはは。ごめん、言い過ぎた」
「知らない。大事なテスト前10分、話しかけないで」
プイッとそっぽを向いて、教科書を覗きこむと、ソラ君が頭を掻いてどうしようと慌ててるのが分かったけれど、気付かないふりをした。
「まあ、私に負けたら、あゆの屈辱も合わせてなんかさせるからね。今から一発芸でも考えときな」
奈菜の容赦ない言葉に少しだけ溜飲が下がったけれど、それでも10分間、私とソラ君が会話することは無かった。