世界で一番ソラに恋した。
奈菜のクールは言葉に、ちょっとだけ自分の今起こした行動を冷静に見らる様な気がした。
「ならない。でも、やっぱ苦しい。ズルイけど、私も――ズルイ」
自分だって散々、分かってたことだもん。
好きになりそうな場面はいっぱいあった。
好きになろうとしていた。
いざ、その時になったら、身長コンプレックスで忘れようとしていたんだから。
「でも、気持ちを自覚したことから逃げないなんてアンタ、格好良いよ」
「奈菜はそうやって甘やかす」
「ね、あゆ」
飲みかけのジュースまで奈菜がくれたので飲んでいたら、ふっと奈菜が真面目な顔になる。
その顔からは笑顔が消えていた。
「ソラが高校一年の時に親が離婚して――、一時的に名字が変わってたって知ってる?」
「えっ」
離婚?
予想もしなかった言葉に、思わず息を飲む。
「書類上よ? 学校の生活上では変わってないの。書類提出とか、全国模試の時ぐらいよ、それも先生が隠してたから気づいていたのって、バイトが疑われて職員室に毎日呼び出されてた私ぐらい?」
「疑うもなにも、バイトしてたじゃん」