恋の心理学を実践しましょう?
STEP 1



「僕が話を聞いた限りでは……それは恋ですね」


「ふぇっ?」

 思わず変な声が漏れてしまった。そのくらい驚いた。


「わ、私が……大瀬さんに、恋してるっていうことですか?」

「お相手は、大瀬さんなんですね」

 しまった。匿名で相談していたのに、自ら暴露してしまった。

 かああっと頬が熱くなる。


「大丈夫、誰にも喋んないですよ。最初に言ったように、僕は外部の人間だから、どうぞお気兼ねなく。この仕事ももうじき辞める予定ですから、完全に部外者になりますし。それでも勿論、今日聞いた話は一生誰にも言いません。守秘義務は守ります。だから安心してくださいね」

 にこりと微笑むのは、今日初めて会った心理カウンセラーの、柏葉さんだ。

 毎年秋にある、会社の健康診断。
 内科系は所定の病院へ行って、半日かけて検査をする。

 それとは別にメンタルケアというものがあって、会社へ派遣されてくる心理カウンセラーと面接することが義務づけられている。

 去年も受けたけれど、柏葉さんとは違うカウンセラーさんだった。
 もっと年配の人で、事務的な感じでさらさらっと終わった。

 柏葉さんは若いからか、まるで友達のように話しやすくて、あれこれ聞かれるうちについ話してしまったのだ。

 目下の悩みを。



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