恋の心理学を実践しましょう?


「あ、それと一番大事なこと」

 思い出したように付け加えられる。

「話すときは、ちゃんと目を見てね。逸らしちゃう癖、あるでしょう、睦美ちゃん。目は口ほどに物を言うって、本当だからね。心が読まれそうに思えて、怖くて逸らしちゃう人って結構多いけど。好きって言葉に出して言えない相手には、心を読んでもらえばいいんだよ。目を見て話せば、言わなくてもちゃんと伝わるから」

 そう言って、柏葉さんはじっと私を見つめた。

 ほらこんな風にと、お手本を示すように。いつになく真剣な瞳は、いつものように笑ってはいない。
 
 単純にドキリとして、やっぱり目を逸らしてしまった。
 無理だ、見つめ返せない。


 やばい、どうしよう。遂にはっきりと自覚した。

 わたしはどうやら、柏葉さんのことを好きになってしまったらしい。

 家に帰ってノートを復習しては、柏葉さんのことを思い出して、胸のもやもやが募るし。
 貰ったピアスを何度も眺めては、にやにやしてしまう。
 一度は会社に着けて行ったけれど、勿体なく思えて、今はジュエリーケースに飾ったままだ。

 自分でもなんて単純なんだと呆れてしまう。

 イケメンで優しくて、親身になって恋の応援をしてくれて……

 それでころっと好きになってしまうなんて!


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