嫉妬深い狼と同棲生活?!





「お前昨日大丈夫やった?
遅くなって怒られたんとちゃう?」





次の日の朝

俺は確認するようにユカリにそう聞いた。



するとユカリは
ギクッとしたように少し動揺した。




(-----何や、今の。)





今の顔…まさかやろ?

何も、されてへんよな?
何も、変わってないよな?




俺はそう願うようにユカリを見る。





「…ユカリ?」

「え?あ、ごめん!
大丈夫だったよ!の、ノープロブレム!」





明らかに様子がおかしかった。

俺は知らん顔してやり過ごしたけど
どうも納得いかんくて。

本当に何もされてないと信じたいのに


きっとそうじゃないって


心が察してしまってるから---。







「……ユカリ、お前…。」







濱崎さんと、何もないよな?



そう尋ねたいのに






「…え?」

「……何でもない。」






何も言えなかった。



正直、怖かった。

心では察してるけど
そうでなければいいと願うばかりで

その願いが散るのが
めっちゃくちゃ怖かった。



そっから
ユカリから何も報告されんように、って


気付いたら避けてしまっていた。


こんなん逆効果やって分かってたけど
怖くて
聞きたくなくて
俺は逃げてしまっていた。


日本史の時間
後ろを向けばユカリは寝てて。

もちろん小林も寝てたし

俺の周りはほとんど寝ていた。





(1番後ろの席が1番先生から見えやすいの分かっとって寝とんのかなこいつ…)




なんて思いながらそのユカリの寝顔を見る。





「……。」





もしこれが学校じゃなくて

俺がユカリの彼氏だったら

間違いなく抱き締めてたやろなぁ。



こんな安らいだ寝顔見て
愛おしくならないわけない。






「…あの人やめて俺にしとけや。」







この言葉が
ユカリに届いたらいいのに。

そうして俺のところにくればいいのに。

そしたらきっと…
お前を幸せにするためなら、俺は何でもやると思う。

きっと一生





(お前を離したり…せぇへんのに。)






そんな事を考えながら寝顔を見ていた。









後日
ちゃんと謝って、いつもと同じように接した。


怖くても
向き合わな何も変わらんで


って斎藤に言われたから。



俺も納得して
ユカリに話しかけた。






「…最近ごめんな、態度冷たかったやろ。」

「え。」






ドキッとした様子のユカリを見て
また罪悪感。

そうやろな

俺の気持ち知らんし
嫌われたんとちゃうかって思われても
仕方ないよな。



…ごめん。





「ちょいと気にかかることあって。
…それ考えてたら気分落ちてしもうてな。」






嘘ではない、嘘。



その言葉にユカリはホッとしたように息をついて
大丈夫だよ、と言う。





そんな俺に

とうとう最後の罰が下った。








「最近どないなん?
例の"濱崎さん"とは。」

「あ…。」





-----聞きたくなかった言葉を

俺は今から聞かなくてはいけない。




覚悟なんて無いくせに
気付いたら聞いてしまったんや。




そして俺は

自爆した。







「じ、実はね…
お、お付き合いすることに…なりました。」









(----------…あーあ。)








俺の片想いも

ここでついに終わりを迎えた。







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