嫉妬深い狼と同棲生活?!





私は濱崎さんと目が合って
ぎこちないけど、軽く笑顔を作って
会釈をした。


そして濱崎さんの目の前に行けば

濱崎さんは私をまっすぐ見据えたまま
少し間を開けて、微笑んだ。





「…一瞬マジで誰かと思った。」





朝と髪型も雰囲気も違ぇんだもん。

と私の髪に触りながら
すげぇ…と微笑む。


その仕草に、私の心臓はドキドキと高鳴り続けていた。





「…よし、行くか。」





と言って柵から立ち上がって
私の隣を歩く濱崎さん。

さっきまで気づかなかったけど

ハタの言うオーラのせいか
校門から出た女子生徒やすれ違う女の人が、濱崎さんをチラチラと見ていた。




(…やっぱり濱崎さんってすごいんだなぁ…。)





と改めてすごさを実感する。

濱崎さんはそれに気づいているのかいないのか、真っ直ぐ前を見たまま何も反応せず歩いている。




「…今日ついでに外食しない?」




久々に行きたいところがあってさ
と言う濱崎さん。

もちろん…という言い方は変だけど
外食の時は必ず濱崎さんが私の分も払ってくれる。

一応両親から仕送りはあるみたいだけど
食費とかの生活費も濱崎さんから出してもらってるのを考えると

やっぱり気が引けるというか。

だから少し迷ってしまった。






「でも、悪いですよ…。
いつも奢ってもらっちゃって…。」

「別にユカリ1人くらい余裕だって。
むしろ普段からもっと贅沢言って欲しいくらいだし。」




だから気にしなくていいよ
と言ってくれる濱崎さん。


私はその言葉に優しさを感じながら
じゃあ、行きたいです…!と返事を出した。





「良かった。まぁ実は7時から予約入れてたんだよね。」




行く気満々でしょ、と言う濱崎さんと
一緒に笑った。





「…にしても、すげぇな…。」





と濱崎さんが言うので
何が?と聞こうとすると
同時に濱崎さんの手がまた私の髪に伸びていた。



---ドキッ



優しく触るて手つきに
ドキドキしていると、濱崎さんが
これ自分でやったの?
と聞いてくる。


仲のいい友達がやってくれたと答えると

へぇ〜と感心するように返事を返された。





「……似合ってると思うよ。」

「っ…!」





そう言った声が、妙に甘く感じたのは
多分私が自惚れているから。

好きな人から褒められるって
こんなに嬉しいものなんだ…。




(どうしよう…すごい好き…。)





こうして褒めてくれる優しさも
髪を触る手つきも
全部…好き。

濱崎さんの些細な言動だけで
気持ちが溢れそうになるのを感じながら





「…あ、ありがとうございます…。」





と視線をきょろきょろとさせながら
お礼を言った。





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