嫉妬深い狼と同棲生活?!





映画館の最寄りの駅に着くと
もう改札を出てすぐに映画館が見えて。


すげぇ楽しみ、と口元を上げながら言う濱崎さん。

その横顔も全部かっこいいなぁと思いながら
私も楽しみですね、と返す。








「---これで大人2枚で。」




受付に着いて、濱崎さんが私からチケットを受け取り
そう言って係の人に出した。

係の人がそれを受け取って席の確認をする。

濱崎さんが私に
どこがいい?と聞いてきたので
濱崎さんに任せると答えると

真ん中の1番いい席を取ってくれた。



そして新しいチケットをもらって
エレベーターで上に上がる。




「上映まであと少しあるけど、何か買う?」





濱崎さんが私に訪ねる。

お昼ご飯を食べてからそんなに経っていないし
特にお腹が減っていなかったので
飲み物だけ買おうか悩んでいた。





「飲み物…買っといた方がいいですかね?」

「あ〜…うん、買っておけば?」






と濱崎さんも言うので買うことにした。


買ったのは烏龍茶。
ジュースにしようか迷ったけど
濱崎さんの好きな飲み物が烏龍茶だったから
気分でそれにした。





「濱崎さんは買わなくていいんですか?」

「うん、俺そんな乾かないからいいかな。」





と言って濱崎さんは行こ?と私を誘導して歩いていく。

ついて行けば、映画館にはまだ全然人がいなくて、少し驚く。

人気の作品だから
もっと人で埋まってるかと思っていたけど…



思えばこの映画館自体来たことがない。

いつも私が行くところとは違って
あんまり人が来なさそうな
静かな映画館だった。



(だからこんないい席が取れたんだなぁ…。)




上映まで少ししか時間がないのに
真ん中が取れるなんて
確かにこんなところじゃないと叶わないなぁと納得する。





「ここの映画館、初めて来ました。」

「だろうなぁ。多分ここらへんの地元じゃないとこの最寄りにすら来ないだろうしね。」





ここ何もないからさ、と濱崎さんが言う。

そっか、ここらへん濱崎さんの知ってるエリアなんだなぁと思いながら

静かでいいですね、と返した。






「そう。俺もそれが気に入ってて
ここの映画館好きなんだよね。」





と濱崎さんが答える。

こうやって少し会話して
共感を得られただけでも
十分私の心は嬉しくて満たされた。

一緒にお出かけできただけでも
十分幸せなのに

一緒に話してると
もっと幸せが増えていく。



幸せ者だなぁ…。





(本当に、これが夢じゃないからすごい…。)





とまた改めて実感が湧いて、感動する。


…心臓の音、聞こえたらどうしよう。

なんて考えなくてもいい心配をしていると
ブーーー!と映画の始まる音がして
周りがやがて真っ暗になった。







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