嫉妬深い狼と同棲生活?!




---------…



映画が上映して1時間くらい経った頃




(おぉ…おっ…うぅ…!)





特にアクション映画が好きとか
よく見るというわけでもないのに

濱崎さんの隣で私は映画に見入っていた。

隣で濱崎さんは普通に見ているのに
私はシーンによってころころ表情を変えながら集中して見ていた。





(わぁ…これからこの中に入るのか…。)





何これ、大丈夫なのかな…。

だって見つかったら絶対やられちゃう…
危機感やばいよ…。




なんて、映画の大事なシーンに顔をしかめていると




------ちょんちょん、




(---------?)





不意に横から指で肩を突つかれた。

何かと思って横を向けば、

濱崎さんが私の飲み物を指差し、
"ちょっとだけ"を表す指をして
"いい?"と口パクで聞いてきた。




---------わっ!!




私は濱崎さんの顔の近さと
その行動に心臓をバクバクと鳴らした。

どうぞ…と手で飲み物を指して促せば

濱崎さんは小さく手をあげて
"ありがとう"を私に伝えた。




(…って、これって…か、間接キスじゃ…?!)





なんて、今更になって気づく。

横をチラッと見れば
もうすでに私の飲んでいたストローに
口をつけていた濱崎さん。


わわわわ…!!
やばい、何で私気づいちゃうのバカ…!


これじゃもう緊張して飲めないよ…!
と自分で自分のことを責める。





(あぁもう…ドキドキして全然映画の内容が頭に入ってこない…。)





これどうなってるの…なんて考えながら
私は隣にいる濱崎さんに神経を集中させてしまう。



濱崎さんは飲み物をもとの場所へ置くと
また先程と同じように映画に集中し始める。

意識してるのは、私だけ。





(こんなに…映画館って距離近いんだ…。)






今までなんとも思ってなかったけど
こうして考えてみると
確かに近いなぁと思う。


だって、私と濱崎さんの間は
この肘起き一つ分しかないと考えると

くっ付いて見てるのとそんなに変わらない気もしなくもない。






…やめよやめよ、考えるだけ落ち着かなくなるだけだもん。




そう思い、集中できなくても見ていようと、映画をきちんと見直すことにした。




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