嫉妬深い狼と同棲生活?!




そしてそれから1時間。

映画が終わって、周りが明るくなる。

他のお客さんがそろそろと帰って行く中
濱崎さんはまだ席を立とうとしなかった。



(……?)




長時間だったから疲れたのかな?
と思いながら
濱崎さん?と声をかければ

濱崎さんが静かに私の方を向いて…





「…やっぱダメだよなぁ…。」





と言った。

私の姿を見てわずかに眉間にシワを寄せた気がする。

その行動も含めて
"ダメってなんですか…?"
と少し不安になる。

何がですか?と尋ねても
濱崎さんは黙って考えるようにうーん…と唸るだけ。





「…よし、時間まだ1時間くらい残ってるし服買いに行こう。」






と言って濱崎さんが席を立つ。



周りを見れば、もうすでにほとんどのお客さんがいなくなっていた。

どうしても買いたい服でもあるのかな…?

私は前を歩く濱崎さんについて行きながらそんなことを考える。




ダメという言葉に
まだ不安を拭えないまま、私も歩き出す。


(…でも何かすごいデートっぽくて嬉しいなぁ…。)





と今度は幸せに浸る。

別に濱崎さんはそんな気1ミリも無いんだろうけど
そうと分かっていてもやっぱり嬉しいもの。

自然と顔が笑顔になる。
















「……あ、あの…。」

「ん、何?」

「えっと…何でその…このお店に…?」





現在。

電車にもう一度乗って
隣の駅で降りたところで
濱崎さんに連れられてきた服屋さん。


でも

濱崎さんが来たそこお店は
レディースファッションのお店だった。






「何でって…ユカリの服買いに来たから。」

「え、私の?
いいですよ私は!足りてますし!」

「いや買うの。好きなの一式選んで。」





何でも好きなの選びな。

と優しく濱崎さんに微笑まれる。



(ど、どうしよう…。)


と私は迷ってしまう。

で、でも何で突然
そんな強引に買い物を…?

と疑問に思い、濱崎さんに何でですか?と尋ねた。





「夕飯食べるところが、制服だと少し目立つし…嫌だろうなーと思って。
だから今買って着替えちゃいな。」

「え……。」





制服だと少し目立つって…

どこに行くつもりなんだろう?
すごいオシャレなところだったら
そんな変な格好できないよね…。

居酒屋…とかお酒扱うところかな?
一応未成年だし、気を使ってくれてるのかも…。




(じゃあ着替え探さなきゃか…。)




と、自分で考えて納得して
私は服を探すことにした。




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