嫉妬深い狼と同棲生活?!
「…で、ここが夕食を食べるところですっ。」
あれから
10分くらい歩いて、あるお店の前で濱崎さんが立ち止まった。
目の前には真っ黒な扉。
そこに白い字で英語が書いてある。
多分、お店の名前だけど。
"Bar & Restaurant"
バーとレストラン…ってこと?
多分だけど地下に繋がっていそうだし
お酒も扱っていそうなオシャレなお店、
という私の予想にも十分当てはまる。
「高校の友達が働いてんだけど…
やっぱりやめた方が良かったかな。」
と濱崎さんは無表情でそう言う。
(バーなんて入ったことないよ…。)
ガチガチのバーってわけではないみたいだけど
やっぱり大人の雰囲気に
怖気付いてるのは確かだった。
多分濱崎さんもそこを気にしてくれてるんじゃないかな…と思う。
「入りましょう、濱崎さん。」
私がそう声を掛けると
濱崎さんが渋々その扉を開ける。
やっぱり地下に続く階段があって。
でもそんなに深いわけでもなく
すぐにお店の前に着く。
-------チリンチリン…
お店のドアを開ければ
鈴の音が鳴って、それに気づいた店員さんがこちらに歩いてくる。
「いらっしゃいま…あれ、圭斗くん。」
「うーっす、お邪魔しまーす。
予約入れてたんだけど…。」
「あー!おっけー、こっちこっち。」
迎えてくれた若い男の店員さんは
濱崎さんと知り合いみたいで
一目見て濱崎さんと気づいた。
そして予約の席まで連れて来てくれると
私を見てニヤッとしながら
はーいメニューです、と渡してくれた。