嫉妬深い狼と同棲生活?!
「それは間違いなく"恋"だな。」
「……は?」
そして斎藤に言われたこの一言。
は?恋?
「ちょ…待て待て。
せやから俺はその"恋"が出来なくて困ってんねん!」
「だから、それは好きな人がいるからだろ。彼女以外の、誰かに。」
『彼女以外の誰か』
斎藤はこの言葉を言いながら
察しているようにニヤッと笑った。
-----いやまさか。
俺はこの言葉にピンときてしまったが
まさか、と思った。
だってそんなん、無いやろ。
それじゃ俺は
4月から片思いしてたってことか?
しかも一目惚れ?
「…名前も知らんのやで?」
そう
俺はあいつの名前すら知らない。
ずっとあだ名で呼んできたし
というか…本人と話したこと、ないやもん。
(俺がいつも一方的に…見てるだけ。)
だからあいつも
俺のことは知らん。
「小林に聞けばいいだろ。
てか…俺が知ってるし。」
お前が菓子パン菓子パンうるさいから
俺が小林から名前聞いといたぞ
なんて言ってニヤッとまた笑う斎藤。
そして俺はその時斎藤から聞いた名前を
2年のクラス替えで発見する。
「…う…嘘やろ…。」
「お前と俺も一緒だし
小林と…お前の大好きな"坂田ユカリ"も一緒だな。」
そう言って背中をバンッと叩いてくる斎藤に
俺は反応を示すことができんかった。
だってこんな
ミラクル、ある?
「秦山!また1年よろしく!」
「おぉ小林。よろしくな。」
「あと秦山、この子坂田ユカリ。私の親友だから仲良くしてね。」
(----------!)
「初めまして。
坂田ユカリです、よろしくね。」
「…お、おぉ。よろしくな!」
改めて本物を間近で見たら
もう俺は自分の気持ちを見逃せんくらい
明らかに高鳴った心臓を
感じてしまった。
…めっちゃ可愛え。
「じゃあ、また後でねー!」
「お、おぉ…。」
そう言って出て行ってしまった小林とあの子。
「っ……!」
俺は顔を赤くしながら
口元に手を当てて固まる。
どないしよう…
俺、むっちゃ好きやわ。