マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
忘れてた。一週間前位までは覚えてたけど、そ
っか今日だったんだ。


最近全く余裕がなかったからな。
それもこれもこの人のおかげだ。


どうしようか迷っていると、「早く」と言って
痺れを切らしたマエストロが、私の手の中に無理矢理押し込んできた。

「開けてみてよ。」


マエストロが、ポケットに両手を突っ込み肩をすくめる。
眼鏡の奥の目を伏せ、恥ずかしそうに言った。


ラッピングを解き小箱を開ける。
アクセサリー…。ネックレスだった。


多分誰かに選んでもらったんだろう。シモーヌさんだろうか。
マエストロはこういう事に、とことん疎い。
普段から鞄がわりに、デパートやお菓子の紙袋を使う様な人だ。


あーそういえばさっきの。
頑張ってって、コレの事か。


「奏ちゃんにはホントにお世話になりっぱな
しだから。受け取って。僕の気持ち。」


彼氏ならともかく、仕事上の付き合いの人にこういうのを貰うのは、正直重いなーと思っていると、


「奏ちゃん。…好きです。君が好き。
この気持ちも受け取って、…欲しい。」


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