マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「まあ、いいわ。美味しい食事にタダであり
つけたと思えば。」(仏)

屈託なく笑った。

「ありがとう。」(仏)

「で、相手っていうのが、さっきの日本人?
」(仏)

「そう。マネージャーをしてくれてるんだ。
」(仏)

「あれだけ可愛らしい人だし、よく声掛けら
れたりするでしょう?気が気じゃないわね。
」(仏)

アーデルハイトさんは、くすくす笑いながら言う。

「はあ…。そうなんだよね。アーデルハイト
さんは?今、つき合ってる人いないの?こう
やって食事に誘っておいて何だけど。」(仏)

「大丈夫。先月末別れて連絡も、もうとって
ないから。」(仏)

「うわ。そうだったのか、ごめんなさい。」
(仏)

「さっきから謝ってばかりよ。でもね、何だ
か分からなくなってきちゃって。」(仏)

「?分からないって?」(仏)

「最初は同じ音楽やってる人と付き合ってた
んだけれど、そのうち、お互いの演奏に口を
挟むようになってきて、次は音楽とは全く関
係ない人と付き合う様になったら、私の仕事
に全く理解を示してくれなくって。」(仏)



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