マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「も、良いですよね。この不毛なじゃれ合い
は。 梁瀬さんが嫌なら、大先生とか、マエス
トロにしましょうか?ね。」

「ええっ?!そんな!お願いだから、 先生だ
とかましてやマエストロなんて、止めて!ど
んな指揮者だと思われるよ、マネージャーに
呼ばせるなんて。」

「じゃあ、マエストロということで。私、灰
谷先生に連絡しなきゃいけない事あるんで、
また後で来ます。」

「ホントお願いだから!悠平だから!下の名
前はゆ・う・へ・い!」


背後からわあわあ言ってたけれど、そのまま放っといて来た。

ホント何なの急に。めんどくさ。


昨日は昨日で、ご馳走にありつけるかと思ったのに、ジルベルトさんが、掛かってきた電話に出て、みるみるうちに血相を変えたと思ったら食事はまた今度だなんて言われて、流れちゃったし。

あーあ。もう頭の中はお肉を味わう準備が整っていたのに。
結局またサンドイッチで済ませたし。

梁瀬さ…、じゃなかった。マエストロはソリストの人とパトリックさんのお店に行ったんだっけ。いいなー。

あそこは凄く美味しいけど、お代はいいよと言って、タダにしてくれるので却って気を使ってしまう。だからそうそう行きたくても、遠慮してしまうのだ。



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