マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
コントラバスソロというのも、この楽器にしては珍しいし、楽章の冒頭がソロから始まるというのも変わっている。

ちらり、とコントラバス奏者の顔を窺う。

自分の演奏から始まる事で、この第3楽章のイメージが左右されるとあって、必死だろう。
南無阿弥陀仏…。


ひたすら重々しいメロディーだが、初めて聴いた気がしない、と感じる人は多いと思う。
日本で言うところの、『グーチョキパーでなにつくろー』なのだが、イメージがかけ離れているせいか、いまいちピンとはこないかもしれない。


この不気味な葬送の行進曲の後に、突然宗教観が色濃く表れたメロディーが登場してくる。

何ともギョッとする組み合わせで曲が進められたり、はたまた長調と単調がコロッと入れ替わったりと、訳が解らない。

何故、どうして、なんて理屈で追えるものではない。あるがままを受け入れるだけで僕には
精一杯だ。
他の作曲家と同様に、物語を読み進める様にしてスコアを読み込む事は難しい。


この交響曲第1番や2番はまだいい方で、番号を重ねていくと、曲は更に混迷を深めていく。
作曲の技術が、段々と練られたものになっていき、行き着いた先はもう精神世界だとかそういったものを想起させる。

確かに難解だし、複雑だ。
しかし構造はしっかりとしており、心に直接訴えて来るものがある。
そこはやはりうーん、と唸らされる。


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