マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と

今回客演で振らせて貰ったオーケストラは、マーラーを得意としてるだけあって、良かったと思う。

楽団員一人一人の能力も高く、要求したことに対してもそれを酌んで、つぶさに対応できる引き出しを幾つも持っている。

個人的に引っ掛かるのは…。

奏ちゃんの同級生だったという、２ndヴァイオリンの奴。
同級生ってわりには、凄くお互いの事をたたえあってたし、キャッキャ楽しそうだったし……

公私混同だろうと、狭量な人間だと思われてもいい！その後のリハーサルはねちっこいものになった。特にヴァイオリンを中心に。


こういう繋がりがあるんじゃ、またこのオーケストラに呼ばれる事があれば、何らかの理由をつけて断りたくもなる。
あっ。でも、今回僕を推薦してくれたのは、音楽監督のフレールさんからの紹介だしな…ブツブツ。

何度でも言おう。

狭量な人間だとおもわ

『コンコン』

部屋をノックする音がした。決め台詞の妄想中に邪魔をされる形になったが、努めて明るい返事を返す。

「Yes.」