マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「私と一緒に居て、つまらなかった?!」
(独)

「そ、そんな事!」(独)

くれてたはず、なんだけれど……。


「ねえ、私じゃ駄目なの?私はユーヘイじゃ
なきゃ嫌!あんなに音楽の事について、お互
いの意見交わしたり、それが私の意見とは違
っても、その隙間を埋めるようなやり取りは
凄く楽しかった!」(独)

「う、うんっ!たた、確かにそうかも知れな
いけれど……。」(独)

「音楽だけじゃないわよ。好きな映画だって
嫌いな食べ物だって、自動ドアに頭をぶつけ
る癖も一緒で、その度に苦笑いしてたじゃな
い!」(独)

えーと、そうだっけ?……覚えてない……。


「お願い!ちょっとだけでもいいから考え直
してみて!無茶苦茶言ってるのは分かってる
けど、私、どうしても貴方を諦めたくないの
!」(独)

よ、良かった……。一応、思い込みが激しいという自覚はあるようだ……。


「アーデル、ごめん。それはできない。
僕は彼女に対しても、君に対しても不実な人
間で有りたくない。」(独)

僕はアーデルの目を見据え、真っ直ぐに言った
少しでも動揺を見せれば、誤解を招く。
僕にはそんな考えは、微塵も持ってない事。それだけを気を付けて言った。


< 233 / 288 >

この作品をシェア

pagetop