マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「それは…、ちょっと…。」

心底嫌そうな顔をしている。

「どうしても無理?」

引き下がりませんよ。

「えーと、あの、お店じゃなくって、…自宅、
そう!自宅なんです。」

「…じゃ、家族団欒、邪魔しちゃ悪いか。」

「ごめんなさい。」


仕方ない。次の機会に取っておこう。
次って?
お付き合いさせてもらってます、的な?
娘さんを下さい、的な?


あー。早くそうできればいいんだけれど。
ちらりと、首もとを見てみる。

「ネックレス、してくれないの?」

一度も見た事がない。

「もっ。…ったいなくって。」

てへっ。という感じで、奏ちゃんは笑う。

「指輪なんかと違って、キズが付く訳でもな
いのに?」


そう思ってネックレスにしたのに。
お父さんは許しませんよ。
そんな適当な答え。
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