マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「梁瀬さん怪我は?もう何ともない?
後遺症とかも大丈夫なのかな。」


「はい。指揮をする上でも、ピアノを弾く上
でも何ら問題ないそうです。」


「こういうの、よくあるの?
指揮者が途中でいなくなって、代わりにコン
マスさんが弾き振りするなんて。」


たらの芽の天ぷらに手を伸ばす。
春だなー。


「私もそんなに詳しい訳では無いんですけど
オーケストラの人も関係者さんも、珍しい事
だって。」


「聴いてるお客さんも、固唾を呑んでただろ
うね。」


「ホントですね。」


お客さんにとっても、貴重な経験が出来てしまった。


「梁瀬さんも、心強いだろうな。クラシック
経験のあるマネージャーで。」


「はあ。」

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