生徒会長と恋の罠
「‥‥じゃあ、さ」
「う、うん‥‥」
彼が真っ直ぐ私の方を見つめてくる。
成瀬くんから手が伸び、その手が私の髪の毛を撫でた。
「僕の名前を、呼んで?」
「え、‥‥成瀬くん?」
「違う。‥‥下の名前」
彼はムッと不満そうな表情をする。
成瀬くんの下の名前‥‥、
「は‥‥、か…くん」
「‥‥もう一回」
髪の毛を指に絡めて遊んでいた彼の手がピタリと止まった。
「は‥‥悠くん‥‥!」
「っ‥‥上出来」
赤くなった頬を隠すように、彼はそっぽを向く。
そんな姿につられて、私まで何だか照れてしまう。