元通りになんてできない
俺は意を決した。
まず俺の話をしよう。
そう決めた。そうすれば、鷹山さんだって、話せるかも知れない。
「俺、離婚したんですよね」
「えっ、ぇえ!?何をさらっと…。本当に?…ごめんなさい、大きな声出して」
「本当に離婚したんです。早いでしょ?すみません、御祝い頂いたのに。
…正式に言えば、結婚してなかったから離婚とは言わないんですけどね。
何言ってるんだと、意味解らないでしょ?
元嫁、…嫁じゃないからそれも厳密に言えば違うんですけど。
元嫁が、結婚はしたかったけど、結婚生活はしたくなかったと言ってですね…。…式、披露宴もしたのに…、婚姻届、出さなかったんですよ。
内緒にされてて気づきませんでした。…ずっと。
俺の結婚は、…イベントでしたね、まさに…。
婚約指輪が欲しかった、…ドレスが着たかった、羨ましがられるような式がしたかった…。
それだけ出来たら良かったらしいです。
婚姻届、出しておくからと言われ、預けたままで確認しない俺も悪いんですけど…、あることがきっかけになって、あいつのしたかった事が解って…。
それで、解消です。
すみません。まだ会社には言ってない事です。鷹山さんだから、話しました。
現状、事実婚だという感覚でいさせて貰ってます」
「…ちょっと、待って、…そんな大変な話、どうして?…。いきなり、私なんかに…」