元通りになんてできない


「…すみません。確か、近くにカフェありましたよね。来た道に。
取り敢えず、そこ迄戻って入りましょう。…話しますから」

「解りました。正直にね?」

睨まれた。

「うっ、…解ってます」




「すいません、コーヒー、…ホットで…二つ」

「畏まりました」

…。

説明、待ってるんだよな。

「…えっとですね。ちょっと企みました。
騙し討ちみたいな事をしようとしてすみませんでした。
実家に行こうとしたのは、その…、薫さんを両親に紹介する為です。俺の奥さんになってくれる人として」

ブーッ。

「ごめん、ごめんね」

あまりの突拍子もない話に噴き出してしまった。

「…いえ。親父もお袋も、俺に早く結婚して欲しいと言っている事は…、前の結婚の時の話で、薫さんも知ってますよね?」

「それは、まあ、ね、知ってるけど…」

紙ナプキンを使って零したコーヒーを拭いた。

「でもだからって、何故?今日?しかも何の説明も無く?そもそも、何故、私?」

「それは…、その…」

「な、に?」

眉間にシワを寄せている。

「貴女が好きだから!」

ブッ。

「…に、決まってます」
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