元通りになんてできない


ほっ。電気、消えてる。良かった…。

眠ってるかも知れないけど、一応声掛けてみた方がいいかな?

ドアをそっと開けて声を掛けてみた。


「猛、君?…幸元君?」

「…はい」

あ、は。…お、起きてるじゃない…。

「あ、戻りました。お風呂、有難う。あと、明かりも」


ほんのりと明るい部屋に足を踏み入れ、荷物をしまった。

化粧水をじっくり見て確認して、軽くパシャパシャとつけた。ふぅ。
いけない…つい癖で気を抜いて声を出してしまった。
…とにかく、お布団に入ってしまえ。

シュルシュルと鳴るシーツの音が、やけに大きく響く気がした。
別だと言っても、すぐ隣にはベッドに猛君が居る…。無意識に背を向けてしまう。

えーい、寝てしまえ。

…。って、眠れない…。

何度も寝返りを打つ。

…。


どのくらい時間が経ったのか…。
瞼を閉じていても、ちっとも眠れない…。

とにかく、眠ろう。

…。

…眠れない。考えるから余計眠れない…。

「薫さん?起きてますか?」

「あ…うん」

「眠れませんよね?こんなんじゃ」

「うん…」

うん、て、変かな。

「はぁ、俺も…、眠れません、全然眠れません」
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