元通りになんてできない


「ハァ、猛君。私はいい大人なの。でも外から見えてるほど中身は大人じゃないの。
少しの事でもドキドキするの。
知らない間にヤキモチも妬くの。ちょっとの事でも…。おかしいでしょ?貴方より年上なのに、ずっと子供なの…。
でも大人だからずるいの。
心のどこかでとっくに気づいてるのに、気づかない振りをして。駄目だと言って。
嫌いじゃないなんて、嘘よ…」

「薫さん…」

「好きだと思う…、多分、もう、とっくに。
好きになってると思う…」

あ、…ん。堰を切ったような…猛君の激しい口づけが止まらない。
でも、自分勝手に乱暴じゃない……情熱を感じる。

「ハァ、もう…、ハァ、無理です…。俺は大人じゃない。大人にはなれない…。
好きだと言われたら…、もう無理だ…」

あ、強く抱きしめられた。痛いくらいきつくて、体が軋みそう…。
…涙がこぼれる。
目尻から流れ落ちる涙を拭いながら問うてきた。

「誰よりも貴女がいいんです、…このまま、抱いてもいいですか?」

「…正直者。そんな事、…聞かないで…」

頷いて…応えた。
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