元通りになんてできない


私も自分の家庭事情、話していなかった事、打ち明けないといけない。
そう思って上司を探していた。

「鷹山君」

声を掛けられた。
あ、居た、狸オヤジ。

「はい」

「ちょっと、いいかな」

「はい」

「じゃあ…と、会議室は…、使用中か。応接室は使えないから…。
ちょっと、出ようか。仕事の段取りは、大丈夫かな?」

「はい、急ぎは無いです」

「じゃあ、ここで少し待っててくれるかな。
主任!~。鷹山君と少し出て来るから、頼むよ?何かあったら連絡してくれていいから。
すまん、待たせて。さあ、行こうか」

「はい」

部長の方から話なんて…。もしかして知ってるのかな。特に席を離れてまでするような話ってないもの…。



此処は…。別名“個室カフェ”じゃないか…。

「知ってるかな?ここ」

「はい」

「そう。便利だよね?此処。込み入った話するには。何かしら修羅場になったら、ここに引きずり込まないとな、なんてな」

ハハハ、笑えない…。


「鷹山君、君だね?幸元の大切な人と言うのは」

…え?いきなり何?肯定していいの?否定した方がいいの?私が聞かされてなくて、幸元君、何か言ったの?
それとも…何か幸元君の不利な事に関わってるの?査定?
返事もしないでグルグル考えていた。

「心配しなくていい。聞いたからといって、幸元に何かある訳じゃない。
俺がそう思ったんだが、違ったかな?」
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