元通りになんてできない

「そうだ…、お弁当作ってもらうとかしてみたら?
おかずを数種類作ることになるから、色々作れるようになるし、作る努力をするようになるんじゃない?
まだ結婚までには日数があるでしょ?
好きな人の為だもの、頑張って作ってくれるんじゃない?いい練習になると思うけど」

「いや、単純に弁当作ってくれって頼んだら、俺には自分で作ったって言って、お義母さんに作らせるかも知れません」

「…そうか、無いことじゃないかも知れないけど…。…あ、ごめんね、解らないのに」

「いや、100%そうなります。間違いなく。
専業主婦になるって本人は言ってますけど、言葉の意味を取り違えているのかも知れないです。
“何もしないでいい主婦"とか、“家に居るから"専業主婦とか…」

…。

「…そこは私には解らないけど…、幸元君が親を安心させたくて結婚するというのなら、あとは飲み込むしかないのかも…、余計な口出しはしてはいけないし。家事の分担とかね、二人で決める事だものね。
きっと孫の顔も早く見たいとか言われてるでしょ?…」

「はあ、…言ってますね」

「結果を早く求めず、気長に奥さんとして育っていくのを見守るしかないんじゃない?まだ若いんだもん。だって、好きなんでしょ?基本的な性格とか、ね?」

「…性格のいい奴があんな考え方しますかね…」

「穿鑿したら駄目よ。今の彼女には精一杯なんじゃない?楽しくて夢で一杯なのかもよ?」

「はぁ。にしても。んんん…。もう、解らなくなりました。
考えてみたら、初めから好きだったかどうかも…、怪しくなって来ました」
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