元通りになんてできない


ガタガタと椅子から立ち上がり、テーブルを回りこんで来た。

「…薫さん…赤ちゃん、俺…」

ギュッとだったり、フワッとだったり…、アワアワしながら微妙な力加減で抱きしめられた。

「猛君?」

「薫さん、…嬉しいんです…俺、嬉しいんです!」

体を離すと、チュッチュッと啄むように何度も口づけて、そして唇を重ねた。

「はぁ、薫さん…。お、俺と薫さんの子供ですよね」

「…当たり前でしょ」

眉間にシワがよりそうな事…言わないでくれる?…。
ウワッ、キャッ。

「あぁ…ヤッター!俺と薫さんの子供!」

「猛君、危ない、危ないから。落ち着いて、お願い。…下ろして」

持ち上げて回ろうとするから、慌てて止めた。

「あ、あああ、すみません!…取り乱しました」

「もう!危ないから。ゆっくり降ろして、落ち着いて…。お願い、ゆっくりね?」

トン。ふぅ。

「…すみません。はぁ、なんて言ったらいいか、…興奮してしまいました。
薫さん、有難うございます」

「まだ、生まれてないのよ?お、と、う、さ、ん」
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