元通りになんてできない


「お父さん?!お父さん!薫さん、お父さん!?俺、お父さんです!」

「はい、この子のお父さんです。猛君」

「はあ…お父さん、です…」

「お父さんですよ、猛君」

「薫さん…、有難う、有難う」

う、うう…。感動屋さんね、猛君。
涙が溢れて止まらない。子供のように無邪気に喜ぶ猛君は、私の胸で泣いていた。


「こんな日が来るとは…。最初の失恋した日を思ったら…信じられなくて…。
でも、あの日、俺が眠れなくてしちゃったから、あの日の…う゛がもう゛が」

「もう!そんな言い方…、そんな言い方しないで。…そんな風に言わないで」

私は猛君の口を手で塞いだ。
うん、うんと頷くから手を離した。

「あの時の、しちゃったから…う゛ぐがぐう゛」

「…だから、しちゃたとか…言わないで…」

うん、うんと両手をあげて頷く。降参か?

「すみません…」

「猛君、お願いだから…、少しずつ、大人になってくださいね」

「…はい」

「間違いないと思うけど、明日病院に行ってきちんと調べてもらってくるね」
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