元通りになんてできない
…部長?…違う、……猛君ね…。戻って来てくれたのね…。
…猛君、いつの間にか寝ちゃったのね。
空いている手で、ベッドの縁に伏せて眠っている猛君の頭を触ってみた。
いきなり、赤ちゃんが出来たと聞いて、驚いただろうに…、あんなに喜んで…。
……ごめんね、私もこのタイミングで言うことじゃなかったよね、部長の事…。ハッパかけとけとか…。
報告が…、順番が気になったのよね。ごめんね…。
なれてるなんて言ったら変だけど、…猛君、私は初めての妊娠じゃなかったから、どこか冷静だったのよね。
だから、業務報告ではないけど、事務的に、先に部長に言っておかないとと、思ったんだと思う。
お互いに初めてなら、不安で…、言っても何て言われるか…、考えて、もっとオドオドして慎重だったと思う。
何があっても、何と言われても、私がしっかり育てていく、そう思ったから、私一人で成立してしまっていたんだ。
猛君をもっと頼らないと駄目だったのに。猛君にだって悪い事してる。
…私、今だって…自分一人で育てていくんだって、そんな気でいる。
…だって、未婚だから。
誰と一緒に暮らしても、育てても…。