元通りになんてできない
心の整理

自分でも何故あんな事を頼んだのか解らない。確かに弁当の話はしてたけど。
気がついた時には言い終わっていた。
正直、…食べてみたいと思った。家庭の味。それも、温かい雰囲気の。
頭のどこかに、和気あいあいとご飯を食べる親子の姿が、想像されて保存されていたのだろう。

その輪に入りたくなった。勿論、空想だから直接の被害は無いのだが。
あー、何か自然と心が弾んで来るのが解る。

明日、鷹山さんのお弁当が食べられる。…我ながらこんなになるとは思わなかった。
…今のこの感情が無理の無い素直な気持ちなんだな…、きっと…。

あ、でも俺の弁当って… 、旦那さんにヤバくないかな、…今頃そんな事に気がつくなんて…。
なんて言うんだろ…、作る理由。

駄目だったら駄目で良い…。
他人の弁当作る作らないでもめさせたら、家庭が大変だもんな…。

昨日今日の新婚さんじゃないから、そこら辺は大丈夫なのかな…。じゃなきゃ、鷹山さんがOKする訳無いか…。

…俺、やっぱりまだ…鷹山さんに確実に好意を持ってる、よな…。

忘れようとして、彼女作ろうと思った…。結婚している人を思い続けても、未来は無いから…。
自分も結婚したら、落ち着くだろう…、と思った。…馬鹿だな、…本当。浅はかな考えだ。そんな考えだから、結婚だって親が言うからって、完全に他人事だ。
マナミが我が儘言っても何も言えないのは、そんな、俺の結婚に対する、不純な気持ち、負い目があるからだ。
それでも結婚しようとしてるのは、やっぱり、諦めだよな…。
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