元通りになんてできない


負けた気がした…。

余裕…。言っても仕方ない。勝負にならない。
明らかに、経験値が足りない。
人として、男として、いくら大人気ない行動だと言われても、そうは見えない。

俺は、簡単にあしらわれてる気になった。

そんなつもりは無いと言われたら、言われるほど未熟者だと言われてる気になった。

年齢からくる大人の余裕。
そう思って、到底追いつけない、行き場の無い苛立ちを納めようとしたが、やっぱり苛ついてしまった。

こんな、俺…。

デリケートな状況の薫さんの負担に成らないようにしたい。

そう思って…。選りに選って、部長に連絡してしまった。

こんなガキの行動。読まれてる。
そう思いたく無くても勝手に思ってしまう。

直ぐに、何もかも余裕な大人になんか成れない、無理だ。
求められても…無理だ。


薫さん…。

メールが来た。帰って来たんだ。
もう、そんな時間か…。

俺は薫さんの帰りをアパートで待ってるつもりだったのに…。
塞いで考え込んでいる間に、随分時間が経っていたんだな…。

【お帰り〜。食べたいモノ無い?
すぐ、行くよ!行くまで何もしちゃダメだよ。幸元】

元気なメールを返した。
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