元通りになんてできない
私にもこの“訪問"がよく解らない。
でも、勇士が眠っている隙をついて、御飯の支度をする私に、そっと接近して来たり、部長と呼ぶと、仕事を離れたら高野だ、いや、紳一郎と呼んでくれ、なんて言うから。
…部長が何を思っているのか、見えないブン、危ないモノだ。
仕事から帰った猛君と部長、私、勇士で食卓を囲む。
どうにも奇妙な光景だ。
内心、敵対している二人は、仕事を離れるといつしか同志になり、変に意気投合しているようにも見える…。
こっちの御飯が多い少ないだの、それは愛情の差だとか言ってみたり…。
もう、付き合い切れない…。
なんなら、このまま、二人お父さんでいいじゃないかとか。部長の方は子供っぽくなって来てるし…。
ああ、ややこしいから、幸元はお父さん、俺はパパ、これでどうだ、なんて…。
いや、年齢から言ったら、俺がパパで部長がお父さんて感じでしょと、幸元君も言い返す始末。
…。
取り敢えず、私はお母さん。そこは不動だ。