元通りになんてできない


はっ。嫌だ私…。
何をどこまで思い出していたんだろう。

顔が赤くなっていないか、思わず両手で顔を覆っていた。

「ん?どうした?思い出さないくらい言われてないんじゃないのか?」

返事に困る。

恋人?現状、夫婦でもない。勇士の親同士。
…曖昧な関係なのかな?
子供を通して付き合っている?
私達の関係は…、距離をおいているようなモノなの?よね?
あれ、何だかよく解らなくなる…。


「俺は、…好きだよ。ずっと。
我慢して言わないようにしてたけど…、少しも変わらない。
いや、益々、鷹山薫という女の事、好きになって困る」

ズキッ。女。…その言葉の響きに何だかザワつく。

「部長…」

「…。鷹山の心は子供の事で殆ど占められているよな。
なら、好きだという感情はどこにある?
何も言ってもくれない。それで満足か?
…どうなんだ?」

「…解りません」

「言われてないんだな」

「え?」

「言われているなら、言われているって言う、お前なら」

「あ…」

「解りませんは、言われてないを肯定したんだ」

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