元通りになんてできない
-紳一郎として-

「なあ、薫。知ってるか?」

「何をですか?」

「仲が良すぎると、子供出来にくいらしいぞ?」

「あ、なんか聞いた事ありますけど、迷信ですよ?」

「ああ、まあ、そうなんだけど。だから、俺達は中々、その…なんだ…」

「赤ちゃんですか?」

「…ああ、出来ないのかなって」

「紳一郎さん?」

「ん?」

「私達は、まだ…、こうなってから日が浅いのですよ?例え出来ていたとしても、まだ解らないくらいの日数です。紳一郎さんは、あんなに妊娠に詳しいのに。フフフ。可愛らしい事を言うんですね」

「…まあ、…そうなんだけどな。
何だか、…勇士との年齢差を考えたら、あまり離れない方がいいかなと思うとつい、な。俺だって、確かめた訳じゃないから。もしかしたら出来ないかも知れないだろ?それに、あんまり若くもないし」

「大丈夫ですよ。きっとすぐ解ります」

「どういう事だ?!」

「女には解るんです。あの時の…初めて紳一郎さんとの…きっと出来てます…」

「…薫、本当か?」

「はい、多分ですけど…」

そう考えると私は…タイミングもあるけど、………出来やすいのだろうか。

「薫!」

「…キャッ」

「しよう!…大丈夫だよな?身体」

「シーッ。…大丈夫ですけど。静かに…。勇士が起きますよ…」

小声になる。

「双子にしよう…」

「…もう、そんな奇跡みたいな事、紳一郎さんだって無理だって知ってるでしょ?」

「解った、じゃあ、三つ子にしよう!!」

「シーッ!」
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