元通りになんてできない
知里と勇士
「知里!知里っ!」
「おかあさん!」
「元気にしてた?ご飯ちゃんと食べてる?幼稚園楽しい?」
「おかあさん。ごはんたべてるし、ようちえんもおともだちたくさんいるよ。たのしいよ」
「そう、良かった…」
「おかあさん、あかちゃん?」
「そうよ、知里の弟。男の子。名前はゆうじって言うのよ」
「おとうと。ゆうじ」
「そう、勇士」
「かわいい、おかあさん、かわいいね。…ちいさい。わっ、ちさとのゆび、にぎった〜」
「知里の事、見てるよ。初めましてって」
「うん。はじめまして、ゆうじ」
知里の後ろから顔が覗いた。
「おじいちゃんとおばあちゃんにも見せて頂戴」
「どれどれ」
「お父さん、イケメンですよ」
「おお、しっかりした顔つきだ」
「いけめん?」
「あー、知里、顔が、可愛いって事よ」
「いけめんしってるよ。かっこいいってことでしょ?」
「そうよ、格好いいって事」
「サンタさん、やっぱりおねがいきいてくれたよ、おかあさん。ちさと、おとうとがほしいってずっとおねがいしてたから。
でも、やっぱりむずかしかったんだね。だいぶじかんかかったから」
「…知里。そうね」