元通りになんてできない
俊夫と靖子
「何だか不思議な事になったわね、お父さん」
「ああ、でも本人達が納得してるんだから、いいんじゃないか?
関係性にはなんら変わりは無いんだし。
勇士の父親が猛で、母親は薫さんだ。勇士は俺達の孫だ。
こうして泊まりに来たり、お前と出掛けたり、何も問題無いじゃないか」
「そうですけど…、事実婚も出来ず…。猛はやっぱり詰めが甘いのよ。うかうかしてたら取られちゃうわよって、あれだけ釘を刺しておいたのに…」
「…薫さんは本当にしっかりした良い人だ。だから、こうなったんだよ」
「…お父さん…」
「つらい思いをして、自立して一人で頑張っていた人だ。
今更、猛みたいなのに頼ると思うか?居るだけで世話が増えるくらいだ。
猛は好きばっかりで…、逆上せていたからなぁ、薫さんに。
ま、解らんでも無いが…。
んんっ。
猛も悪い訳じゃないんだぞ。あれが普通だと思うよ。親として評価は甘いかも知れないが、歳からして、まだ受け止めるだけの器になってないだけだったんだよ。一緒には居なくても…子供も居たんだ。薫さんも離れて弱っていただろうし。…はぁ。…まだ、発展途上だよ。猛を責めちゃいけない」